PG&Eの連邦破産法Chapter 11申請

PG&E(Pacific Gas and Electric Company, NYSE: PCG)は、カリフォルニア州の民営ユーティリティ会社の中で最大手の企業で主に加州の北側に電力ガスを供給しているが、史上最悪と言われた山火事の補償に耐え切れず、今般Chapter11申請(民事再生法)となった。

ブラウン州知事(今年1月で退任)がサプライズでクロージングスピーチに登場したCERESのカンファレンス(2017年4月)のメインスポンサーがPG&Eだった。女性CEOのGeisha Williamsがサステナブルなユーティリティカンパニーのあり方を熱く語っていたのが印象的だったのでPG&Eのサステナビリティレポートを持って帰って、日本の電力会社に渡したくらいである。もちろん、そこで100%自然エネルギー(これは前回選挙のときの社民党公約)などとは言っていない。PG&Eは電源ソースの多様化と災害対策が安定供給に重要だと強調していた。

しかし、その2017年からここ2年のカリフォリニア州の山火事は酷く、その一部が電線などからの火花がきかっけとされPG&Eが責任を問われているが、その額US$30Billion(3.3兆円)にも達するとみられており、万歳となったのだ。Chapter11なので、通常業務、電力供給に問題はなくその資金の確保はできている。もちろんユーティリティ会社がなくなっては困るので、株主と債権者の負担のもと再生案を練ることになる。すでにGeishaはCEOを辞任している。

このPG&Eを苦境に陥らせた原因の山火事は、もっぱら気候変動が原因で深刻化しているとの見方がある。カリフォルニアの熱波や干ばつも気候変動との原因との見方で、そのため山火事が深刻化したのだという。気候変動と山火事を結びつけるリサーチも多く発表されているが、自然災害については温暖化ほどのコンセンサスはない。カリフォルニアだけをみればそうかもしれない。が、確かに日本も昨年は災害が多かったが、大雨だったり台風だったりかなり水っぽいし、さすがに地震を温暖化ガスによる気候変動を原因にするのは無理がある。ま、米国は「大いなる田舎」なので地球には米国しかないか他国も自分たちと同じようだと考えている人が多い。カリフォルニアでそうなら、地球全体がそうだってことさ。

ちょっとハナシが外れたが、ということでPG&Eは、気候変動によって倒産に追い込まれた最初のユーティリティ企業となったのだ。さらに、カリフォルニア州ユーティリティ委員会は、山火事の補償リスクを電気代に上乗せすることを認めるという。いよいよ市民の財布に気候変動が影響する事態になったのか。

PG&Eの株主は、どうか。この気候変動のリスクへの備えを警告したのか?エンゲージメントしたのか?元CEOは気候変動の時代への対応は1企業には耐えられないといっている。他の民間ユーティリティ企業の対応はどうなのか。今年の電力会社へのエンゲージメントや株主提案は従来の「気候変動へのアウェアネス」からもう一歩踏み込んで「気候変動へのpreparedness」がテーマになるだろう。

さらに、カリフォリニア州がラディカルに進めるグリーン計画(2045年までに電源を100%カーボンフリーやゼロエミッション規制)に支障はないのだろうか。新しい加州知事のGavin Newsonは民主党のリベラル派で気候変動は公約のメインの1つらしいので、ブラウン知事の政策を引き継ぎブレなさそうだ。

山火事でPG&Eは倒産するが、TEPCOは福島原発でびくともしないんだよな

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