“Meat” or Not “meat”, that is the question.

Sustainable Food あるいは Sustainable Agricultureは、次に流行する注目ESGテーマで企業のSDGs(CSVのこと)でもイチ人気になるとみている。なにせ、現在の世界人口は70億人で、2050年には人口100億人が予測されている。しかも人口は新興国や途上国に集中している。100億人を養っていけるのか?地球温暖化で海面が上昇し農耕地が沈むという予測もある。砂漠化が進み淡水が不足するというハナシもある。まあこういうESG的な背景に、米国では人造肉や合成ワインといった農地や牧草地を使わずに農産物や畜産物を生産するスタートアップが注目されている。

3年前のCeresのサンフランシスコのカンファレンスで、ビーガンランチを食べながら、Beyond Meatの創業者Ethan BrownとPEマネジャーであるColler CapitalのCIO,Jeremy Collerの対談を聞いた。Beyond Meatは植物から直接「肉」を作る。牛を屠殺することなく、「肉」でできたハンバーガーパテをつくってみせ、実際にハンバーガーを食べた人には区別がつかないくらいだという。他にも「肉」をシャーレで培養する会社もある。シャーレに増殖した赤い”thing”は細胞レベルでは「肉」そのものらしい。

「オエ〜」という前にちょっと待ってくれ。
Factory FarmingでYou Tube検索すると、現代の畜産のグロい現実がわんさか出てくる。実際、生き物を早く育てて屠殺して、「肉」を生産するって、酷くない?それに、穀物を餌にして牛を育てて「肉」にするってサステナブルじゃないよね。牛を育てるのに穀物は30倍、水はうん十倍かかるし、牛のゲップは最強温暖化ガスであるメタンの発生源。人口100億の時代に、みんながこの西欧的肉食生活を楽しむと、いったいどうなる?そもそも100億人分のタンパク質がこのやり方で供給できるとは思えない。なんてハナシが、Sustainable FoodとかSustainable Agricultureなどのキーワードにくっついている。

で、Christian Science Monitorに、全米各地で起こっている、この「肉」をめぐるバトルについての記事があったので紹介しよう。(CSMonitorは米国の割と気に入っている元は新聞のメディア)
米国で問題となっているのは、この人造肉のネーミングだ。ネブラスカ州をはじめとして各州(農業州)では、”Meat”の定義を決める立法がなされている。つまり「肉」とは、家畜や鶏の死骸の食用できる部分を指す。つまり、肉牛農家が、人造肉に”Meat”を名乗られないようにしているのだ。人造肉は市場の1%に過ぎないが、成長著しい。農家は、軒下を貸して母屋を取られることを恐れているのだ。実際、「肉」が名乗れるか、あるいは「人造肉」「シャーレ培養肉」であることを明記しないといけないか、などは今後の人造肉市場拡大には決定的に大事だという気がする。サステナビリティに理解があっても、「オエ〜」を乗り越えるためには、「肉」が説得的だろうから。現在は、州法レベルでの争いだが、いずれは連邦レベルでFDAやDOAが決めることになり、連邦が仕切った段階で各州法は無効となるので、まだまだ農家にとっては予断を許さない。これは、「バター」とか「ミルク」でも戦ってきたのだが。これからも「肉」だけで済まないかもしれない「鶏肉」とかいずれは「マグロ」なども。

なんたって、人造肉はグローバルな食糧サステナビリティやタンパク質枯渇のソリューションなのだ。すでに世界の陸地の4割と淡水の7割が農業や牧畜に使われており、温暖化ガス排出はグローバル全体の3割に達する。2050年には人口100億人の時代となり、もはや既存の農業や牧畜はサステナブルでないのだよ。シリコンバレー的サステナビリティソリューション、ESG投資家なら、人造肉に一票か?

しかし、この話は結構ツッコミどころが多い話でもある。アグリの話はデジャブでもある。2000年代にコモディティが同じような食糧枯渇を理由にバブったことがあったが、元に戻ったのでただのバブルだった。米国内でも穀物配合飼料(Grain-fed)でなく、牧草飼料(Grass-fed)にすれば問題ないという説もある。牛がクサを食んでいる土地はそもそも耕作適地ではないから、牧畜をやめても農地が増えるわけではないという。まだまだ、伝統的な農耕牧畜でやってけますよ。それに、100億人が欧米的肉食を好むという前提があるようだけど、ペリフェラル(周辺=非欧州)も豊かになれば当然(すでに豊かな)欧米を模倣するって誰が決めたんでしょう。グローバルの多様な人種民族の食生活の多様性について考えが及ばないんでしょうか。さらにいうと、100億人になったら食糧が枯渇するかどうか、逆にいえば食糧がないのに100億人になるのか?このあたりもなかなか興味深い議論がある。気になった人はググってさらに深掘りしてみてください。

ということで、Sustainable AgricultureやSustainable Foodは、SDGsへのフィット感も良くESGネクストテーマで、米国では人造肉ビジネスが着実に進展しているようです。

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