創業会長のセクハラ辞任はガバナンス強化で乗り越えろ(米国)

アカデミー賞の常連ハリウッドの超大物プロデューサー、ハーベイ ワインスタインのセクハラ事件はハリウッドの頂点に立つレジェンドが、その立場を利用して女優やモデルの女性に関係を迫るというパワセクハラだ。実際にセックスに応じなかった女優を干したりもしていたらしく、ハーベイに好かれるというのはハリウッドでの成功の条件で、それは長年の公然の秘密だった。

しかし、時代はジェンダーパリティに向けてアクセルを踏んでいる。最後の砦は、トップ、支配層だ。ここは今だに男が圧倒する。支配層への女性進出は、男女平等が進む先進国の最後の課題なのだ。これが、最近のセクハラ告発の多発の背景にあると私は考えている。女性を搾取する支配層のワル達は、女性が支配層へ進出すること、すなわち”女性活躍”を好まないだろう。パワセクハラトップこそ女性が支配層に入れない阻害要因に違いない。

当然、ビジネス界にもありそうな話である、と思ったら案の定とばかりに出てきたのが、ウィンリゾート(Wynn Resorts)の創業者会長のCEOスティーブ ウィン氏。ウィンリゾートはラスベガスのカジノ(日本では総合型リゾートというらしい)でNASDAQ上場、S&P500銘柄でもある大企業だから、当然、機関投資家株主にとって他人事ではない。
ラスベガスのカジノ経営のレジェンド、スティーブウィンはその立場を利用して、長年に亘ってイヤと言えない女性従業員と性関係を持っていたというもので、本人は否定するものの、次々と詳細なセクハラの実態が露出、ウィンリゾートの株は8%も下げた。

スティーブ ウィンは会長CEOを辞任、持っていた37億ドル相当のウィンリゾート株を売却したとされその影響もあってか株価は2月は低迷した。また、ボストン郊外に建設中のカジノの許認可にも影響するかもしれないという。ウィンはかつてミラージュは敵対的買収で失ったことから全財産のほとんどをウィンリゾートの株で持っていたとされるが、今度はセクハラで会社を失った。ちなみにウィンリゾートの売り上げはマカオからやってくるようだ。日本のカジノ運営にも興味があったとされる。

現在は、社長だったマシューマドックスがCEOとなり、企業カルチャーを変革するとして、既存の取締役2名に代わって、新たに社外取締役候補3名を指名したが、全員女性だった。これにより昨年のISSの評価が最低点だった当社の取締役会は、人員を増やしダイバーシティを獲得する。新しい取締役は、元クリントン政権時のスポークスマン、コーポレートガバナンス専門家、ウォルトディズニーのIRヘッドだそうだ。この改革には、今や個人の筆頭株主となったスティーブの元妻エレン ウィンも関わっている。彼女も新取締役候補に会い、彼女自身も指名することを検討するという。大株主としての役回りを積極的に果たそうとしているようだ。新CEOはボストンの建設中のカジノも売却方針のようだが、エレンはそういった検討は取締役会が刷新されてからと釘を刺している。これが功を奏してかどうかはわからないが、株価も持ち直してきている。

スチュワードシップの観点からは
株主のウィンリゾートに対するエンゲージメントも必要だが、経営者のパワセクハラ(経営者の自己の利益最大化)というガバナンス問題としてみたとき、ウィンリゾートだけにとどまらない問題として考えないといけないだろう。今まで放任されてきたパワセクハラ経営者は上場企業に彼1人というわけではないだろう。セクハラの過去は示談だろうが時効だろうが、いくら有能だとしても経営者としてとどまることは難しいというのが新しいルールだとすれば、マネジメント継続性のリスクでもあり、ダメージコントロールが必要なレピュテーションリスクでもある。今や株主が気にすべき企業の男性問題なのだ。

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