ネガティブスクリーニング、ネバーダイ(米国編)

ネガティブスクリーニングはESG投資のもっとも伝統ある基本的な実践方法で、グローバルESG投資の半分くらいはこれと思っておいて間違いない

90年代米国のSRIといえばネガティブスクリーニングのことを指していた(まだ、ESGなどという言葉もなかった)
元々営利企業は悪い奴が多い。儲けるためには何だってする。世の中に不幸を撒き散らして利益を上げる悪徳企業、労働者から搾取して儲けにする企業、まがい物を作って消費者を騙して儲ける企業、こんな企業の株式に投資したくない。そんな株から利益を得るなんて、後ろ指差されそうだ。というのがスクリーニング投資の原点だ。
朝気持ちよく寝覚めるために、と言う人もいる。英語ではSRIをGood sideの投資、メインストリームをBad sideの投資なんていう。

米国にはネガティブスクリーニングの伝統がある。
最初のSRI投資信託をローンチさせたのはメソジスト教会関係者だったが、いまでは広く公的年金基金や個人の401KプランにもSRIの選択肢が用意されている。ネガティブスクリーニングされるのはタバコ、ギャンブル、アルコール、武器製造、動物実験、動物愛護、労働者保護など多岐にわたるが、社会運動としてのダイベストメントが盛り上がったイシューとしては、90年代の南アフリカアパルトヘイト、2000年代のタバコ、そして現在の化石燃料や石炭がある。

アパルトヘイトについては、その廃止にダイベストメントキャンペーンの成果という評価がある。これは経済制裁同様、資金源を断つことで「圧力」がかけられると考えられている。2000年代もイランやミャンマー、スーダンといった国の軍閥政府とビジネスをする企業を不投資としてきた。半分くらいの州に公的年金基金のイランやスーダンの不投資が議会で決議されている。当然、米国の外交政策とのアライメントがあり(最近ミャンマーは外れたようだ)、資産運用を民間の純粋な経済活動という捉え方をすると(日本ではそうだと思うが)この政治的なダイベストメントは違和感があるかもしれない。私は、とりわけ公的年金基金のESG投資は政治的な要素があるという風に理解している。巨大機関投資家は先進国が、国際社会への影響力を発揮するツールの1つだ。

最近の化石燃料や石炭不投資については、温暖化を懸念する大学の学生や教授達が大学のエンダウメントに不投資を求める請願を出している。米国の大学のエンダウメントはハーバード1兆円ファンドを筆頭に年金基金並みの資産運用をしているところが多い。昔を知る人は、ちょうどタバコの不投資もこんな感じで始まったと言っていた。エンダウメントの中には、石炭不投資を決めるところも出てきている。公的年金でもカルフォルニア州政府も公務員年金基金に石炭不投資を指示している。実際に実行した投資家はAUMベースでみればそれほど多くはないと思われるが、アドバルーンとしては多いに盛り上がっている。そのニュース性や社会への浸透が不投資の効果だという言う人もいる。本当に、石炭のダーティイメージは定着している。ニューヨークでは炉端焼きの店はチャコールは使えないそうだ。そりゃ木炭でしょ。Coalね、いけないのは。石炭は採掘関連企業が対象だったが、最近では石炭発電も対象になっている。電力会社や発電設備のあるメーカー、新規石炭火力プラントを立てる企業も入る可能性がある。

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