Norges Bankはノルウェーの中央銀行だ。その資産運用部門はノルウェーのSFWである政府年金基金グローバルの資金を運用している。2017年版責任投資レポートが出た。
https://www.nbim.no/en/responsibility/
ESG投資について知りたいと思っている人は手始めに、このNorgesのレポートを一読すると欧州のESGに熱心な投資家の活動がわかる。
ESG投資が具体的にどのようなESGテーマを取り上げるのかといった疑問には、Norgesが出しているテーマレポートをみると良い。
2017年版責任投資レポートで紹介されているESGテーマに関するレポートのタイトル
Anti-Corruption
Tax and Transparency
Children’s Rights
Water Management
Climate Change Strategy
Human Rights Strategy
ポジションレポート
CEO Remuneration
ESG投資では老舗のNorgesは、その昔はウォルマートが気に食わないといって1日で全株を売却して、それがニュースになったりしたこともあって、不投資運動の急先鋒の伝統がある。最近もまた石炭採掘や石炭発電の不投資を開始したりしている。
政府のお金なので、中央銀行が運用、財務大臣にレポーティングするとあって、ESG投資の投資方針も、ノルウェー国憲法に照らしてというところから出発するので、ノルウェー政府の政策が色濃く反映することになる。Council of Ethicsが政府として、不投資などの指示を出してくるが、それだけでなくNorgesは投資マネージャー(運用機関)としてのESG投資方針をさらにかけてくる。最近では、突然売却ではなく、NorgesによるActive Ownership、つまり議決権行使・エンゲージメント活動によるESG投資の実践が行われている。
ポートフォリオは上場株式が中心で、株の割合が6割くらいで、うち1/3がパッシブ、1/3がエンハンスト、1/3がアクティブ。イメージではこのアクティブも分散型のもの。資金量が巨額なため、完全にグローバルなポートフォリオを運用しているが、日本株でいえばMSCI Worldにも登場しないようなミッドスモールの銘柄なども拾ってくる。このため、中堅の日本企業の筆頭株主として突然登場することがある。ここはPEやオルタナティブを持たないのでいわゆるインパクト投資の系列がない。
ちなみにガバナンスオフィサーはロンドンにおり、最初に欧州投資家ヒアリングの旅にでかけたときにインタビューに応じてくれた。中央銀行としてのガードは高く、いわゆる共同エンゲージメントなどに参加しない。1機関として十分すぎるほど大きいので、つるむ必要がないということもあるが、SWFであって年金基金ではないということもあるのだろう。
http://www.nikko-research.co.jp/library/5423/