フェイスブックにエンゲージメントしてる?

状況を説明しておくと

フェイスブックが、研究目的に提供したユーザーのデータがケンブリッジ・アナリティカというデータ分析による選挙のコンサル会社に売却され実際の選挙コンサルに使われていたとされる。その数5000万人とかなんとか。なんでそんなにすごいのというのは、本人の情報といっしょにお友達のもごっそりくっついてたらしい。

フェイスブックなどSNSを使ってロシアもトランプ大統領誕生をサポートしたとされるが、こちらはどちらかというとフェイクニュース系、このケンブリッジ・アナリティカは、米国大統領選ではトランプ陣営へ、英国の住民投票ではブリグジットに付いてデータマイニングやらビッグデータ分析で戦略を指南、結果的に両方とも勝利したので注目されているのだ。(もちろん、アナリティカがどれくらい寄与したのかは議論のあるところのようだが)

ミレニアル世代の社長であるマイク・ザッカーバーグは、環境にも配慮しており、ステークホルダーへの配慮もあるフェイスブックはESG的には優等生だった。クラスシェアを導入しているシリコンバレー企業だけど、機関投資家株主とのコミュニケーションも良好で、たとえば取締役会がボーイズクラブだとの批判では、女性社外取締役の他に、あのシェリル・サンドバーグCOOも取締役にして、ボードのジェンダーダイバーシティを図るなど、対応している。おそらく、ESGスコアもそこそこ高いのではないかと思われる。

しかし、今回の対応はちょっと後手に回った感があって、株価は下がるし、ザッカーバーグ社長は米国議会に証人喚問されるとあって、フェイスブックへの逆風とメディアも書き立てている。そうすると、必ずでてくるESG投資家がパニッシュしている(罰している)という話。ESG投資家が売り浴びせて、株価が下がっているんだ(3月28日付日経新聞参照)
いや、ちょっと待って、それは違うんだ。

問題発覚前のESG投資的な状況はどうかというと
グローバル株式や米国株式を対象とするESGファンドは、フェイスブックは保有しているだろう
トップホールディングスに入るところも多いだろう。ESG投資とて「投資」なので投資のセオリーに基づいてポートフォリオを構築している。なので、普通にフェイスブックを持っているところは多く、株価下落は足元のパフォーマンスに響いてるだろう

しかし、ESG投資家は長期保有なので、トレーダーのように目先の株価下落で損切りしたりしないし、
ESGコンプライアント(遵守)の投資家も、ESGスコアが下がって投資不可になっても売却についてはファンドマネージャーには数ヶ月の余裕を認めている。ESGファンドとて「ファンド」なので、普通に株価がザブンザブンしているときに売り急いで余計な取引コストにならないよう配慮している。さらに、基本、この世界はセルサイドと違ってマーケットタイミングは取らないのが原則だ。

ので、豪のファンドがフェイスブック不投資を決めたからといって、それがフェイスブックの株価を下落させたわけではない。(売ったかどうかもわからないし、売ったとしてもデイのマーケットインパクトなんて観察不能と思う)
セルサイドのデイの取引で上がった下がったの理由付けにESGイシューを使うのは不適切だ。ESG投資家はそういうトレーディングをしているわけではないし、最近流行のパッシブ運用はそもそも銘柄選択しないので、インデックス銘柄をじっと持っているだけなので、そういう日々の株価の説明には使えない。
なので、せめて、ESG投資家の不人気を予想して、フェイスブックの株を低い価格でも売却する市場参加者や、低い価格で購入する市場参加者がいたという表現にしてもらいたいもんだ。(だって、売った分だけ買った人もいるわけだから。低い価格で合意したと。)

と市場の動きはさておき、
この問題は、ESGイシュー的には「サイバーセキュリティとプライバシー」の問題で、数年前からESGイシューとして認識されている。
実際にこの問題が今回どれくらいマテリアルなものになるのか、機関投資家株主としてはそれを分析した上で
必要であればアクティブ、パッシブ共にフェイスブックにエンゲージメントすることは検討するだろう

アクティブなら売却もアリだが、フェイスブックともなるとToo big, not hold.ではないかと思うので
それに、問題が問題ならば、フェイスブックのみならずSNSの他の銘柄、プラットフォーム銘柄のイシューでもある可能性がある
「サイバーセキュリティとプライバシー」問題は、今までは大きなエンゲージメントテーマにはなってこなかった感がある
ひとつには、分かりにくいというのがあるのではないかと思う。
フェイスブックのビジネスモデルが、そういったユーザーデータを売る、あるいはデータを利用したマーケティングで儲けているわけだから、生半可な倫理観だけで紐解くのは難しい気がする。
といいながら、漫然とフェイスブックを眺める私は、以前からどうしてフェイスブックはこんなに儲かるんだろう?と思っていた。こうやって利用する見返りにフェイスブックに個人情報をお渡ししているわけで、私自身は大した情報でもないと思っているけど、これも集まれば相当の価値を生むってことなんだろうか。アナリティカに聞いてみたいもんだ。(これ投資に利用できないかな)
すくなくとも規制はこの業界には逆風になりそうだ。そもそも、そういうの止めたら?(#delete facebook)というのもあるけど、これは不投資運動と同じくどれくらい逆風なのかはよくわからない。

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