海洋プラスティックがストローになるわけ

年初にN総研のA氏にお会いしたときに
「パームオイルの次はマイクロビーズの問題」
と予言されていたが、本当にやってきた

ほんの数ヶ月で海洋プラスティックゴミ問題は
ストロー不投資?運動となって日本でも広く認識されたようだ

しかし、はて?
マイクロビーズ
海洋プラスティック
ストロー
どう繋ぎ合わせたらいいのだろう?

ということで簡単な解説
ここでは当該ESGイシューのマテリアリティについては議論しない
ということはESGインテグレーションとか、エンゲージメントイシューかどうかということは横に置いておいて
そもそも、どういう環境問題なのかということをざっとおさらいしておく

1.最初にマイクロビーズ(マイクロプラスティック)の問題
これは私でも認識しているのでESG投資家がとりあげてきた、あるいはこれからとりあげようという問題リストに入っている環境問題だ。
歯磨き粉のような研磨剤入り、スクラブ洗顔、メラミンフォームなどに入っているプラスティックのつぶつぶは、排水にまじって下水処理を通り抜けて海へと放出される。日本近海の海洋調査では、マイクロビーズはどこでも見つかっており、大学の研究室などから報告されている。しかし、このマイクロビーズが生態系などにどのような影響を及ぼすかははっきりしていないが、想像するに、あまり気持ちのいいものではないし、見た目わからないとしてもキレイな海とは言い難い気がする。この問題は、プラスティックが海に垂れ流されているという点で対応必要なゴミ問題である。
対応策としては、マイクロビーズを下水処理のところで止めるか、止められないとしたら、プラスティックつぶつぶを自然分解するような代替物に変更するということが考えられる。(フロンガスと同じ)

2.しかし、今回脚光をあびたのはマイクロビーズというよりは、海洋プラスティックゴミのようだ。テレビなどでもマイクロビーズもでてくるが、たいていは海洋を漂うゴミの塊を絵にしている。これはOcean Garbage Patchesというやつで1980年代から指摘されている巨大なゴミの塊が太平洋などをぐるぐる回っているというものだ。このゴミの出処は様々で、積荷が落ちたもの、意図的に捨てられたものもあるかもしれないし、3.11の津波で日本からも大量の瓦礫などが太平洋に流れ出て、遠い対岸に流れ着いたのは記憶に新しい。しかし、このゴミの大半が長らく分解しないプラスティックであることから、海洋プラスティック問題を体現していると考えられている。

3.このように海は大小プラスティックゴミで汚染されており、これはなんとかしなければならない。
そもそもプラスティックが分解されないのがよくない。だからプラスティック製品をなくすべきだ。手始めに、使い捨てプラスティックはやめるべきだ。マクドナルドやスターバックスが使用する使い捨て容器の数は天文学的数字だろうから、マクドナルドがフォームカップやフォームパック(ビッグマックなどに使われていた)の使用をやめることは、使い捨てプラスティック削減に目に見えて貢献するだろう。スターバックスのストローも数量は大きいだろうが、プラスティック量はストローなのであまり削減には貢献しないかもしれないが、ストロー止め運動は、使い捨てプラスティックパージの象徴なのだ。人々の認識(アウェアネス)を高める効果を狙っている。

ちょっと待て
1や2の問題提議はいいとして
3で海のプラスティックゴミ削減の対策が使い捨てプラスティック禁止令になる部分が、ややジャンプしてないか。
海洋プラスティックゴミの主要な構成要素が使い捨てプラスティックであることとか
使い捨てプラスティックがなぜか海洋に投棄される
といったことは、誰も言ってない
そもそも日本の陸地の上ではストローを捨てても、海には投棄されてないはずだ。夢の島からどういうルートで海の漂うゴミとなるのか?

第2章
この海洋プラスティックゴミ削減がクローズアップされたのは、カナダのうっとりするような名前のリゾート都市シャルウボワで開かれたG7において「海洋プラスティック憲章」が採択されたことからだが、さらに日米が署名しなかったというオマケもあった。ここにきて俄かにこの問題が浮上したのは、そりゃ中国が先進国のゴミの輸入から卒業すると宣言したからだ。

ペットボトルは、ストローと違って使い捨てプラスティックでない。リサイクル・プラスティックだ。資源ごみの日には分別して出して、リサイクルに回される。だからストローのように槍玉に上がることはない。(海岸に打ち上げられているゴミはどうみてもペットボトルが多いけれど)しかし、先進国は自国内でリサイクルをするとそのコストが高すぎて、ペレットを売っても採算はとれない。そこで、先進国は新興国に資源ごみを輸出して、新興国でリサイクルをするという構図があって、中国はその6割を占めていたので、中国のゴミ輸入停止で、先進国(欧州各国)に資源ごみが大量に滞留することになったのだ。中国以外の新興国でも処理能力に限界がある。だから、そもそも資源ごみ(プラスティック)の発生を抑える必要がある。という話が、海洋プラスティック憲章=プラスティックゴミ削減が浮上してきた背景なのだ。

話がややこしいのは、ここでは資源ゴミ=リサイクル・プラスティックの話だったと思いきや、ESGアクティビスト(?、As you sowのことらしい)が求めたのは、スタバの緑のストロー、使い捨てプラスティックはいかん、あれは止めろ、だったからだ。ストローで削減の量は限られているだろう。海洋プラスティックゴミのほとんどがストローということはないだろう。ストローは不必要なプラスティック製品の象徴で、人々がクリアに認識できる身近で実践できるプラスティック削減だから。スタバにとっても、not big dealだろう。

過去にも使い捨て「割り箸」が槍玉に上がったことがあったが、森林伐採をして割り箸を生産しているわけではないし、最近は竹箸も増えた。これらは健康的に焼却できそうなので、コンビニでは猛烈に配っている。使い捨てプラスティックとしてはレジ袋がストローより先輩で有料化されたが、どれくらい削減できたのだろうか。ストローも含めて使い捨てプラスティックは、本来日本では、焼却している。使い捨てプラスティックは、海には船からポイ捨てしない限り、海のゴミにはなってないだろう。なので海で分解される紙ストローに替える必要は、あまりない。海のゴミになっているのは、リサイクル・プラスティックつまりペットボトルの方ではないか。先進国は資源ごみとして輸出していたが、中国はそのゴミの処理の公害に音を上げたわけで、もう自国分だけでも公害の元になっていると訴えている。
どんな処理が新興国で行われているか、海洋ゴミの元になっていないか、ゴミを送り込んでいる先進国も無関心ではだめだろう(こっちの憲章をつくった方がいい)

ということで、日本が「憲章」に署名しなかったのは、資源ごみ滞留問題が喫緊の課題として共有されていなかったこともあったかもしれないし、いつもの各省庁から物言いがついて、為念的に、ちょっと待てとなったのかもしれない。そこ批判するより、海洋プラスティック問題解決手段として使い捨てプラスティック削減が効果的なのかどうかという議論も必要だと思う。海洋投棄される可能性があるから、ほとんどが焼却処分されているとしても、使い捨てプラスティックはけしからん、というのはあまり説得的でない。今ある海洋ゴミの由来を分析すれば、海洋ゴミをなくすための方策がみえてくるのではないだろうか。マイクロビーズについては、現在生活排水から垂れ流しなのでルーツは明らかである。

一方、長年、海洋プラスティックゴミ問題に取り組んでいる環境団体からは、「憲章」がなま温いとの批判が出ている。署名しても、さほど各国行政が法規制パワーを使って強制削減に動くとは思われず、ストロー同様気持ちの問題で終わってしまいそうだということらしい。

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