ポストパリ合意時代の気候変動イニシアチブ:Climate Action 100+

ESGといえば気候変動(Climate Change)のことだと考えてもそんなに間違っていない。
と言うと「え?」と思う人がいるかもしれないが、それはたぶん貴方が日本人かアジア人だからだ。
運用機関のESG担当者も、とりあえず気候変動テーマを取り上げるのは避けている人が多いのではないだろうか

出羽の神を出すと(グローバルでは)
今あるESG投資に熱心なグローバルアセットオーナーもインベストメントマネージャーも
ESG投資業界には欠かせない投資家のイニシアチブやNPOも、みんな最初は気候変動からやってきたんだ
なんたって最初の投資家の大掛かりなイニシアチブはCDP、カーボンディスクロージャープロジェクトだった。
サステナビリティーってそう私たちの暮らしが維持可能な地球環境のことを指しているというのが一番わかりやすい
だから、ESGはおよそ気候変動でOK

残念なことに、日本だけがそこから抜け落ちている。コーポレートジャパンは一部大丈夫だが、機関投資家と世間一般、世論というか日本国民が完全に気候変動の輪から抜け落ちている。みんな海外旅行のついでに現地の人に気候変動について尋ねてもらいたいもんだ。

再び、出羽の神を出すと、パリ合意を受けてグローバルは再び気候変動に焦点を絞りつつある

前置きが長すぎた。
機関投資家の気候変動イニシアチブであるおなじみの
IGCC (Ceres)(米国方面)とIIGCC(欧州方面)
それから最近活動しはじめたAIGCC (アジアオセアニア)
とPRIが共同ではじめたClimate Action 100+は、要はCDPみたいなもので、機関投資家がまとまって、グローバルの温暖化ガス排出トップ100企業をリストアップするので、みんなで気候変動エンゲージメントをしようぜ、というもの
エンゲージメントは、もちろん温暖化ガス排出削減もそうだけど
ロビー活動やTCFDが求めるシナリオ分析を含む気候変動財務リスクの開示を促すというのも含まれる

さらに、次点50企業も発表するらしい。こうすれば、機関投資家はどこにエンゲージメントしにいくべきかすぐにわかるわけだし、イニシアチブとしてオープンレターを作成、みんなで裏書きして共同エンゲージメントもできるというわけ
パリ合意を受けてTCFDでさらなる気候変動リスクの開示を求めていく共同エンゲージメントの枠組みだ

ウェブサイトは
http://www.climateaction100.org

そもそもきっかけとなったのは2014年9月(パリ合意より前)に出た
Global Investor Statement on Climate Change
(上のイニシアチブの他にINCRやUNEP FIのロゴも見えている)

裏書き機関投資家のリストをみてみると、いつものESG投資家に加えてメインストリームの運用機関や保険会社などわんさか載っている。
お気づきと思うが、日本の機関の名前はない。うーん、仲間に入ってない感じが強いんだな。

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