フロリダのスクールシューティングとESG投資

ESGが投資で問題になる典型的なケースなので米国のケースだけど紹介しておきます。

米国で銃乱射事件が発生すると、いつものように銃規制の声は高まるもののワシントンDCの反応はスローで、それは強力なロビー団体であるNRA(全米ライフル協会)の影響だとい解説がなされる、というのがお決まりのパターンだが、
2月14日つまりバレンタインデーの日にフロリダのパークランドで起きた高校の銃乱射事件のその後は、いつもと違うようだ。

まずは、NRAのメンバーに割引特典などを出している企業に対して批判が起こり、ユナイテッドやデルタ、ハーツなどはNRAとの関係断絶を表明し、NRA会員への特典や割引を打ち切ったのだ。FedexとUPSはお互いにNRAとの関係を叩きあっている。企業側のこの素早い反応は、ESGな時代を感じさせる。企業もミレニアム時代の消費者がこういった社会問題への企業の対応に敏感になっていることに気づいているのだ。

次の矛先はフロリダ州教職員退職年金基金だ。フロリダの先生達は、自分の年金のお金が銃火器製造メーカーの株式に投資されていることを知り、怒り心頭、即時不投資を求めている。さらに、12州の教職員退職年金基金が銃火器メーカーに投資されており、その中には先般酷いスクールシューティングがあったコロラド州も含まれているというのだ。公的年金基金への批判は止みそうにない。
さらにインデックスファンドにも、当然銃火器メーカーが含まれているため、批判の矛先が向いている。

機関投資家やインデックスファンドが保有しているガンメーカーとは
American Outdoor Brands (スミス&ウェッソンを保有)
Olin
Sturm Ruger
Vista Outdoor

以前、Governance for OwnersのPeter Butler氏にエンゲージメントファンドの話をきいたときに、ひとつのエピソードとして投資先企業がスミス&ウェッソンを子会社として保有していたので、ガンメーカーを持つことのESG的なリスクを説いて売却するよう勧めたという話をきかせてくれたことがある。

このように、今では社会的な問題が発生すると、政治の方より先に企業に、そしてその企業の株式を保有する機関投資家株主へ批判が向かう。市民は今や年金基金の受益者の立場からインベストメントチェーンに問題解決を求めるというルートが出来上がってるということなのです。

南アフリカのロンミンの労働争議、カーニバルの客船座礁、バングラディッシュのラナプラザ工場倒壊などいずれも、機関投資家は受益者やNPOからエンゲージメントを受け、機関投資家は投資先企業へエンゲージメントするといったことがESG投資業界で繰り広げられていたのです。

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