ミレニアルズってどなた?

ESG投資業界では、度々ミレニアルズが登場する。

石炭を不投資(コールフリー)とすべきだ、いや化石燃料全般不投資(カーボンフリー)だろう、ミレニアルズはそこまで要求している
などESGにコンシャスな投資家としてミレニアルズは登場するが、
畜産はサステナブルとはいえない、生き物を工場で生産して屠殺して肉にして売るなんてグロいことミレニアルズは好まない
など企業が注目するサステナビリティやオーガニックにコンシャスな消費者としても
職場においても当たり前のようにテックを使いこなし、新しい働き方を好む労働者としてタレントマネジメントのツボでも
ミレニアルズは登場する

意地悪な言い方をすれば、
ESG投資を「パフォーマンス」に成り代わって正当化してくれるマジックワードであり、
企業のCSVや社会貢献を「企業価値最大化」命題に成り代わって正当化してくれるマジックワードのように思える

ところで
Millennials, who?

ミレニアルズ(Millennials)とは
米国でおよそ2000年代に成人になる層のことを指す
幅広にとれば1980~2004年くらいに生まれた若者たち
別名ジェネレーションY

この世代がESG投資業界で注目されるのは
親の世代が戦後の経済繁栄を謳歌しており、かつてなく蓄積された個人資産の多くを引き継ぐ世代である。最初から財産持ち世代であり、すでに投資家のコアと言われる。一方、戦後ベビーブーマーの孫世代であり、人数的にも労働者としても消費者としてもコアの層になるため、投資業界もビジネス界もミレニアルズに訴求することが成功の鍵のようなのだ。
さらに、
金儲けより大義が好き、すなわち地球環境や社会の持続可能性に強い関心があるとされ、プロ(向)サステナビリティと考えられているからESG投資業界も熱い視線を送っている。

こういった世代で区分けして(cohort)、血液型占いのようなことをやるのは個人的には面白く読んでいる。
米国の世論調査のPew Researchなどに行くと様々な世論調査からみえるミレニアルズの特性が示されている
サステナビリティに意識高い系だけでなく
ミレニアルズ世代は、インターネットネイティブであり、SNSを使っている、わからないことは人に聞くより先にググる、など様々なトレイツがフィーチャーされている。

しかし、こういった調査はサンプルが最初からバイアスしていることも多く、ためしてガッテンくらいのロバストネスしかない。ジェネレーションX(Yの前)やジェネレーションZ(Yの次)でも、同様のトレイツが確認できるという反論も多くみかける。
なので
投資の合理性がやや緩い点をミレニアルズで解決するのは慎みたいところだ。

たとえば、ESGスクリーニングでは、あまりにも強いスクリーニングは投資ユニバースを縮めるため分散効果の点で不利となり、長期的平均的にリスク調整リターンでは劣後すると考えられる。同じリターンでもより分散しているポートフォリオの方がリスクは低くなっているからだ。MPTの世界では、リターンはリスクをベアリングした結果であり、取ったリスク量に応じてリターンが得られると考える。その中で、唯一分散こそはフリーランチだ。
強いスクリーニングでフリーランチである分散を放棄しても、ミレニアルズに訴求できるからオッケーといわれると
本当にミレニアルズはそれでオッケーかい?Really?と突っ込みたくなる。

理にかなったESG投資はミレニアルズを持ち出さなくてもユニバーサルに訴求できるはずだ。ミレニアルズを持ち出すESG投資の議論は薄っぺらい可能性が高い、と思っている。
また、日本のミレニアルズは今のところ金欠世代で、金融資産は高齢者に大いに偏っているため、米国のようなミレニアルズ使いはできない(為念)

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